函館港:歴史と異国情緒が織りなす北の海の玄関口
北海道函館市に位置する函館港は、日本で最も早く開港した国際貿易港の一つであり、その歴史的な街並みと美しい景観から、国内外の多くの観光客を魅了し続けています。天然の良港として知られ、その形状から「巴港(ともえこう)」とも呼ばれるこの港は、物流の拠点であると同時に、函館の魅力を象徴する存在です。
函館港の概要:開港から現代まで
函館港の歴史は、1859年の日米修好通商条約により、横浜、長崎とともに日本初の国際貿易港として開港したことに始まります。以来、北海道と本州を結ぶ交通の要衝、そして北洋漁業の基地として、北海道の経済発展を支えてきました。
- 所在地: 北海道函館市
- 港湾の種類: 重要港湾
- 主な役割:
- 北海道と本州を結ぶフェリー航路の拠点(フェリー貨物取扱量は国内屈指)
- 国際コンテナターミナルとしての物流機能
- クルーズ船の寄港地
- 北洋漁業の基地
- 特徴: 函館山から扇状に広がる市街地と港が織りなす夜景は、世界三大夜景の一つにも数えられ、訪れる人々を魅了します。波が穏やかで、かつては船を繋ぐ必要がないほどだったことから「綱知らずの港」との異名も持ちます。
函館港の多彩な魅力
函館港の魅力は、その歴史的背景から生まれた異国情緒あふれる街並み、新鮮な海の幸、そして壮大な景観にあります。
1. 異国情緒あふれる街並みと景観
開港とともに海外の文化がいち早く流入した函館には、今もなおその面影が色濃く残っています。
- 金森赤レンガ倉庫: 明治時代に建てられた倉庫群を再利用したショッピングモール。港に面して建ち並ぶ赤いレンガの建物は、函館ベイエリアの象徴的な風景です。夜にはライトアップされ、ロマンチックな雰囲気に包まれます。
- 元町地区: 旧函館区公会堂やハリストス正教会など、和洋折衷の歴史的建造物が点在し、開港当時の面影を今に伝えています。
- 八幡坂: 港に向かってまっすぐに伸びる美しい坂道。石畳の道と両脇の並木、そしてその先に広がる函館港の眺めは、数々の映画やCMのロケ地にもなっています。
- 函館山からの夜景: 函館の夜景を一望できる函館山からの眺めは圧巻です。きらめく市街地の灯りと、それを縁取るように広がる漆黒の海と港のコントラストは、忘れられない感動を与えてくれます。
2. 港町ならではの絶品グルメ
函館は「食の宝庫」としても知られ、特に港で水揚げされる新鮮な魚介類は絶品です。
- 函館朝市: JR函館駅のすぐ隣に位置し、早朝から活気に満ちています。名物のイカをはじめ、カニ、ウニ、イクラなど、北海道の新鮮な海の幸がずらりと並びます。海鮮丼を提供する食堂も多く、朝から贅沢な朝食を楽しむことができます。
- イカ料理: 函館を代表する味覚といえばイカ。透き通るような身の「活イカ刺し」は、函館でしか味わえない格別の美味しさです。
3. 活気あふれるイベント
函館港とその周辺では、年間を通じて様々なイベントが開催され、多くの人で賑わいます。
- 函館港まつり: 毎年8月上旬に開催される函館最大の夏祭り。初日を飾る大規模な花火大会のほか、「ワッショイはこだて」の掛け声とともに市民が練り歩くパレードや、名物の「いか踊り」で街中が熱気に包まれます。
物流拠点としての重要な役割を担いながら、訪れる人々に歴史とロマンを感じさせ、美しい景観と美味しい食で魅了する函館港。その多面的な魅力は、今も昔も人々を惹きつけてやみません。

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